関西の世界遺産「古都京都の文化財」アクセス・周辺の観光地から登録理由まで

古都京都の文化財の概要

古都京都の文化財は平安時代から江戸時代にかけて、およそ1100年にわたって日本の政治・文化の中心となった京都に残る、17ヵ所の寺社と城郭で構成されています。もともと「唐」の都「長安」を模して作られた京都ですが、その後、日本独自の発展を遂げ、それに伴い数々の建造物が建てられました。登録されているのは二条城を除き宗教施設ですが、幾たびも繰り返された戦乱をくぐり抜け、残され伝えられてきた物です。日本を代表する各時代のさまざまな様式の建築や庭園、美術・工芸品を堪能する事ができます。

古都京都の文化財の所在地・基本情報

・名称:古都京都の文化財
・英語名:Historic Monuments of Ancient Kyoto(Kyoto,Uji and Otsu Cities)
・登録日;1994年12月
・住所:京都市と宇治市さらに大津市にまたがる2県3市
・電話番号:075-366-1498
(京都市文化市民局文化芸術都市推進室文化財保護課)
・交通アクセス:17件の指定資産へは全て市内の公共交通利用でアクセス可能
・公式サイト:https://www.city.kyoto.lg.jp/bunshi/page/0000005538.html

古都京都の文化財の構成遺産

・賀茂別雷神社(上賀茂神社)
・賀茂御祖神社(下賀茂神社)
・教王護国寺(東寺)
・清水寺
・延暦寺
・醍醐寺
・仁和寺(別称・御室御所)
・平等院
・宇治上神社
・高山寺
・西芳寺(別称・苔寺)
・天龍寺
・鹿苑寺(別称・金閣寺)
・慈照寺(別称・銀閣寺)
・龍安寺
・本願寺(西本願寺)
・二条城

古都京都の文化財のみどころ

古都京都の文化財に指定されている施設は、ほとんどが宗教施設です。宗教施設と言われるとちょっと敷居が高いのですが、我々、一般観光客でも気兼ねなく拝観する事ができます。それらは歴史的に見ても日本のトップクラスの、建築、庭園、襖絵、仏像などです。今回は、京都と聞いて誰でもすぐ思い浮かぶ清水寺と鹿苑寺(別称・金閣寺)、町中にある城郭の二条城、さらに山岳寺院の延暦寺の4ヵ所に絞ってご紹介します。

清水寺のみどころ

音羽山の中腹に建つ清水寺は平安時代から続く歴史の古い寺院ですが、現在の建物は江戸時代に3代将軍・徳川家光によって寄進された物が多いです。ここの見どころは何と言っても「清水の舞台」で有名な懸崖造りの本堂でしょう。京都の街並みを背景にした本堂の写真は、誰もが一度は見たことがあるはずです。周囲を木立に囲まれ、四季折々の風情を楽しめる、京都を代表する観光地です。お寺に向かうまでの坂道の両側には、土産物屋が延々と連なっています。桜や紅葉のシーズンだと、歩くのも大変なほどの観光客でにぎわっています。

鹿苑寺(別称・金閣寺)

鹿苑寺と言われてもピンとこない人でも、金閣寺と言われれば、すぐ3層の金色の建物を思い浮かべるでしょう。室町時代の北山文化を代表する舎利殿(金閣)は、残念なことに1950年に放火によって焼け落ちてしまいましたが、国の補助と全国からの寄付により1955年に再建されました。池に映る金色の建物はいつ訪れても美しいのですが、春や秋の観光シーズンを外した、初夏の新緑の季節もお勧めです。冬の早朝、もし非常に運が良ければ雪化粧をした舎利殿を見る事が出来るでしょう。

二条城

17の指定施設の中で唯一、宗教施設ではない建造物、お城です。徳川幕府によって、御所の守護と将軍の上洛時の宿泊施設として建てられました。城内の建物は大きく本丸御殿と二の丸御殿に分かれています。本丸御殿は宮家の住宅建築で、二の丸御殿は武家風の書院造りとして有名です。特に二の丸御殿は、城郭に残る唯一の御殿群として国宝に指定されています。内部の様々な装飾、特に狩野派の障壁画が見事で、こればっかりは博物館や美術館で見るのではなく、現場で見て欲しい物です。三方から鑑賞できるよう設計された二の丸庭園は、著名な小堀遠州によって改修されています。

延暦寺

大津市と京都市にまたがる比叡山の山中に、建てられた寺院群が延暦寺です。平安初期に最澄によって開かれ、数多くの名僧を輩出しました。しかし、延暦寺自体が有名になり、僧兵を養い強大な力を持つにつれ、時の権力者との様々な軋轢も生まれました。そして、織田信長によって全山を焼き払われるという、悲劇をも招いてしまいました。延暦寺は広範な地域に大小150ほどの堂塔が建てられていて、ちゃんと見ようと思えば、シャトルバスを使っても一日がかりです。時間がない場合は、まず中心となる根本中堂を見て、後は徒歩でその周りの大講堂や国宝殿の散策をお勧めします。

古都京都の文化財が世界遺産に登録された理由

平安時代から江戸時代かけて約1100年もの長期間にわたり作られた、代表的な様式の建造物、庭園、それに関連する美術装飾品などが、それらの文化的背景も含め適切に維持保存されています。

古都京都の文化財が該当する登録基準

(ii)建築、科学技術、記念碑、都市計画、景観設計の発展に重要な影響を与えた、ある期間にわたる価値観の交流又はある文化圏内での価値観の交流を示すものである。

(iv)歴史上の重要な段階を物語る建築物、その集合体、科学技術の集合体、あるいは景観を代表する顕著な見本である。

登録基準に合致している点はどこ?

(ii) の条件について

京都は8世紀から17世紀にかけて日本文化の中心として栄えました。その間、宗教的・非宗教的に関わらず、さまざまな様式の建造物や庭園などが生み出され、時代を経てより洗練され、日本独特の完成度の高い物となっていきます。それらは都に上ってきた地方の有力者にとっては憧れの対象となり、自分の支配地域にも同じ物を作ろうと考る人が出てきます。彼らは実際に都の技術者を招くなどして、日本各地に都風の建物を作っていきました。 14世紀に今の山口に都市計画も含めた「西の京」をつくった大内氏などはその最たる者でしょう。さらに度重なる都の戦火を避け、多くの知識人が地方に逃れた事が、都の文化の地方への伝播をさらに促進していきました。現在でも小京都と呼ばれる地方の町は全国に数多くあります。一方、庭園に関しては後に海外へも広がり、日本庭園として造園、愛される事になりました。

(iv) の条件について

古都京都の文化財では17ヵ所の施設が登録されていますが、これらはいずれも国宝や国の重要文化財に指定されてる建造物を有し、庭園も特別名勝に指定されています。当然、各時代を代表する重要かつ貴重な物であります。それぞれ具体例を挙げ、ごく簡単に記して置きます。(既に紹介した4ヵ所は除く)

・賀茂別雷神社(上賀茂神社)
江戸時代に資料を基に平安時代の神社景観や建物を再現しています。

・賀茂御祖神社(下賀茂神社)
全国の神社に残る流造本殿の古い形を良く保存しています。

・教王護国寺(東寺)
創建当時、平安時代の伽藍配置を良く伝えています。

・醍醐寺
京都最後の木造建築の五重塔が建っていて、桃山時代の華麗な雰囲気を持つ庭園が残されています。

・仁和寺(別称・御室御所)
門跡寺院として知られ、御所の建物や古材を利用して整備されています。

・平等院
平安貴族の極楽浄土のイメージを建物と庭園で具現化しています。

・宇治上神社
平安時代の建造で現存する日本最古の神社建築です。

・高山寺
国宝の絵巻物「鳥獣戯画」で有名なお寺ですが、鎌倉時代の住宅風建物の石水院も国宝に指定されています。

・西芳寺(別称・苔寺)
枯山水と池泉回遊式の2つの庭園からなり 、境内を覆いつくす様々な苔の美しさから、苔寺とも呼ばれています。

・天龍寺
日本で最初に特別名勝に指定された、池泉回遊式であり借景式でもある庭園が残されています。

・慈照寺(別称・銀閣寺)
幽玄、わび、さびを感じさせる室町時代の東山文化を代表する寺院です。

・龍安寺
石と白砂だけで造られた枯山水の名園です。

・本願寺(西本願寺)
他を圧するほどの巨大な木造建築が並ぶだけなく、豪華な書院、本願寺書院庭園、飛雲閣を有する滴園翠があります。

古都京都の文化財へのアクセス

まずは京都市に入り、そこからバスや電車など公共交通機関を使ってのアクセスになります。

東京から古都京都の文化財へ行くには?

所要時間:約2時間10分

東京駅から京都駅まで新幹線

大阪から古都京都の文化財へ行くには?

所要時間:約30分~50分

大阪駅からJRの新快速で京都駅まで約30分。
大阪梅田駅から阪急電車の快速急行で京都河原町駅まで約50分。

古都京都の文化財周辺の観光地

京都自体が見どころが豊富で、1日や2日ではどんなに頑張っても回り切れません。さらに指定されてる施設は、ある意味、一般庶民の生活からかけ離れた、巨大で豪華な物が多いです。そういった物ばかり見てると、正直疲れてもきます。そこで気分を変えて、庶民の住宅が保存されてる南丹市美山町の「かやぶきの里」はどうでしょうか?

「かやぶきの里」

もともと若狭と京都を結ぶ「鯖街道」の要所で、かやぶき民家が美山町内には多数残されています。特に「北」集落には約40棟のかやぶき民家が現役で使用されています。かやぶき屋根は一定の期間が過ぎると、屋根の葺き替えが必要になってきますが、今日では原料となる「かや」も作業を行う職人も集めるのは困難で、コストもかかります。ですから全国には今だ、かやぶき民家がいくも残っていますが、いずれも屋根にトタンをかぶせ、葺き替えをしないですむ形をとってます。その点でもこの「かやぶきの里」は貴重な存在です。ここでは民泊も可能で、「日本昔話」に出てきそうな宿で一泊するのも興味深いものがあります。この一帯は、国の重要伝統的建造物群保存地区に指定されています。

アクセス
所要時間:約2時間
京都駅八坂口から京阪京都交通バスで。ただし、現在はコロナウイルスの影響で運休しています。

古都京都の文化財周辺の宿泊施設

京都は昔から国内外の観光地として有名で、数多くの宿泊施設があります。その種類も豊富で超高級ホテルから、リーズナブルな中級の宿、格安のゲストハウスがあります。春や秋の観光シーズンや、お祭りなどのイベントの期間中は、予算にあった宿が探しづらい点もあり、そう言った場合は交通の便の良い大阪などに宿をとるという方法もあります。ですが敢えて京都の宿泊にこだわり、価格帯の異なる5つの宿泊施設を、立地重視で紹介します。

ザ・リッツカールトン京都

世界規模で展開してるホテルチェーンが、2014年に京都に作った超高級ホテルです。「ミシェランガイド京都2020」で5つ星を獲得しています。鴨川のほとりに建ち、地下鉄や私鉄駅にも近いため、他の地域の観光地へのアクセスも簡単です。街歩きに良い季節なら、平安神宮や知恩院、八坂神社も徒歩圏内です。夜の祇園や先斗町へなら、さらに近いです。従業員のサービス、部屋の広さ、調度や設備は今さら申すまでもありません。まさに京都の伝統や文化を取り込んだ都会のオアシスです。
・地下鉄東西線「京都市役所前駅」より徒歩3分

ホテルグレイスリー京都三条

京都の繁華街、新京極通りと寺町通りに挟まれた、京都の中心部に2017年にオープンしました。新しくきれいな225室の中規模のホテルで、普通のビジネスホテル感覚で利用できます。もちろん一通りの設備はそろっていて、さらにこの値段帯では珍しくバス・トイレが別になっています。繁華街に接しているとはいえ、決してうるさいという環境ではありません。当然、買い物や食事には不自由しませんし、アーケード街なので雨が降っていても傘は不要です。
・地下鉄東西線「 京都市役所前 」駅5番出口より徒歩約5分
・阪急「京都河原町」駅 9番出口より徒歩6分
・京阪「三条」駅 7番出口より徒歩7分

ロイヤルツインホテル京都八坂口

京都駅南側の八坂口にあり、2020年にオープンしたばかりで、館内や客室は非常に綺麗です。客室は219室で中規模クラスのホテルです。駅まではおよそ100m!ビジネスホテル感覚の値段設定ながら、大浴場や日本庭園を望む露天風呂もあります。食事やお土産購入は、京都駅や地下街へ行けば、ほとんどの物は手に入ります。基本、市内のバスはどこ行くにも京都駅前バスターミナルが始発です。市内観光する上で、ここほど便利は所はないです。観光を終え次の場所に行く場合も、JRと近鉄を使えば簡単に移動できます。
・京都駅八坂口から徒歩約2分

カオサン京都ゲストハウス

日本ではゲストハウスと言う名前で呼ばれていても、ちょっとしたビジネスホテル並みの値段設定をしている所もありますが、ここはわずか数千円で宿泊できる施設です。ただしお金を節約したい人向けの感は否めません。大部屋で1つのベットだけ使用の場合はさらに破格の安さですが、海外の文化の異なる人たちと相部屋になる事もあるので、そういった点が気になる方にはお勧めできません。それらも旅の楽しみの一つを考えられる人には、打ってつけの宿でしょう。阪急四条河原町駅の近くで、繁華街へも出かけるにも、東山界隈の観光地へ散策に行くにも非常に便利です。
・阪急四条河原町駅、10番出口より徒歩約5分

とまとゲストハウス

京都駅から徒歩圏内の、こじんまりしたゲストハウス。静かな下町情緒あふれる古い建物を利用してます。ここも前述同様、文化の異なる人たちと接する機会が増えるので、「うるささ」が気になる場合が出てくると思います。しかし、値段を考えれば、出費を抑えたい若い人や、長期の旅を続けている人には、無くてはならない宿泊施設です。ネットカフェやカプセルホテルで、夜を明かす事を考えれば、ゲストハウスを選んだ方が、総合的にはリーズナブルだと思います。
・JR京都駅から西へ徒歩約10分

まとめ

京都は今さら言までもないのですが、人を呼び寄せる観光資源にあふれています。日本の歴史や文化、建造物、庭園、伝統芸術どれを取り上げても素通りできない場所です。世界遺産に登録後は、より多くの、主に海外からの観光客も増え続け、それによる弊害も出てきました。市内の交通渋滞に拍車がかかり、特に人気の観光エリアを通る市バスを利用する場合は、いつもぎゅうぎゅう詰めで、この界隈に住んでる地元の人は大変だろうなと、他人事ながら気になります。コンビニなんかも景観を気にしてか、外装が見慣れたものではないので、見つけ辛いです。それらも繰り返されて来た長い歴史の一過程でしかないのかもしれません。京都はいつ行っても、何度行っても新たな体験や発見がある町だと思います。

参考記事

京都市情報館

日本ユネスコ協会連盟(公益社団法人)

京都観光Navi

古都京都の文化財(Wikipedia)

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